La Bonne Pioche

   Sud-Ouest Andillac  1 ha bio  nature
ラ・ボンヌ・ピヨッシュはフランス南西のアンディヤックにあるドメーヌです。造り手のヨアン・ルジエは、妻がアメリカ人であったため、当初アメリカでソムリエをしていました。そこで、世界中のありとあらゆるワインを試飲したヨハンは、ナチュラルワインに強く引き付けられていきました。土地とそこに根差した食、そして自然を愛する二人は、フランスに戻ってドメーヌを設立。ヨアンは標準化されたワインにうんざりしていました。クラシックなものや、居心地の良い場所から抜け出して、ちょっと変わったワインを消費者に提供したいと考えていました。そこで、自身の感性のおもむくまま、そしてブドウが自発的にどうなりたいかに寄り添ってワイン造りをしています。彼が手掛けているのは、ガイヤックの地場品種主体にしたペット・ナットやオレンジ、軽やかな赤など、これまで南西ワインにはないユニークな個性を備えたワインばかりです。
  

Simple et Funky

サンプル・エ・ファンキー
VDF
品種:モーザック100%
 
手摘みで収穫したブドウをダイレクトプレスして野生酵母のみでステンレスタンクで温度管理を行わずに自発的に発酵。メトッド・アンセストラルで、アルコール発酵が完全に終了していないワインを、残糖を残して瓶詰めし、瓶内で完全にアルコール発酵を終了させる。ア・ラ・ヴォレでデゴルジュマン。ドザージュはゼロ。モーザックが酸化しやすい品種であるため、SO2は発酵直後に限り極少量のみ添加。その後は、瓶詰め時もデゴルジュ時も無添加。2023年の収穫日は9月9日。ティラージュは9月16日。2024年2月26日デゴルジュマン。アルコール度数11度。総生産量900本。2024年3月時点のSO2トータルは10mg/l。ガス圧2.49気圧。
ヨアン自身のコメント:私はペット・ナットを造るのが楽しみでした。ペット・ナットの難しさは、ちょうどいいタイミングでボトリングすることです。早すぎると泡が多くなり、遅すぎると泡が足りなくなってしまうからです。美しい泡に、とても存在感のある果実味。食事のたびにこれを抜栓したいくらいです。キュヴェは文字通りシンプルでファンキーな味わいであることからサンプル・エ・ファンキーと命名しました。エチケット・デザインは妻のエイミーが手掛けました。

  
  

Ouvrez les guillemets

ウヴレ・レ・ギメ
VDF
品種:ソーヴィニョン・ブラン100%
  
手摘みで収穫したブドウを除梗・破砕して、果皮とともに野生酵母のみでステンレスタンクで温度管理を行わずに自発的に発酵。マセラシオンは3週間。1日1回のルモンタージュでマセラシオン。圧搾後、引き続きステンレスタンクで自発的なマロ発酵とシュールリーによる熟成。無清澄・無濾過で瓶詰め。SO2は瓶詰め時に必要最最小限のみ添加。2023年の収穫日は9月4日。アルコール度数12度。総生産量1,500本。2024年3月時点のSO2トータルは25mg/l。
ヨアン自身のコメント:キュヴェ名の『Ouvrez les guillemetsウブレ・レ・ギメ』とは、フランス語で「引用符を付ける」という意味です。小説を朗読している時に、登場人物の話す言葉を聴衆に伝えるときに、口頭で言う慣用句です。ソーヴィニヨンの味わいについては、人それぞれ意見がありますが、今年はブドウが全てを語っているように感じます。ですから、少し時間をかけて、「引用符を付ける」ように、ブドウが私達に語ることに耳を傾けて頂けると、新しい物語が聞けることでしょう。

  
  

Ca fait rire les oiseaux

サ・フェ・リー・レ・ロワゾー
VDF
品種:メルロー100%
  
手摘みで収穫したブドウをダイレクトプレス。同時に軽く足でブドウを破砕することによって極僅かに色素を抽出。野生酵母のみでステンレスタンクで温度管理を行わずに自発的に発酵。引き続きステンレスタンクで自発的なマロ発酵熟成。無清澄・無濾過で瓶詰め。SO2は瓶詰め時に必要最最小限のみ添加。2022年の収穫日は9月9日。アルコール度数12度。総生産量750本。2024年3月時点のSO2トータルは14mg/l。 
ヨアン自身のコメント:キュヴェ名の「Ca fait rire les oiseauxサ・フェ・リー・レ・ロワゾー」とは、フランスで非常によく知られているクレオルの歌です。フランスでは、80年代から90年代にかけて、クレオルの歌が夏に非常に人気がありました。多くのグループが、太陽やバカンスのイメージにぴったりの雰囲気の曲をリリースしていました。この曲はシンプルですが、「ただ一緒にいるだけで幸せ」であることを喜ぶような幸せなリズム、そして太陽と心地良い気分が香ってくるようです。この曲は、このキュヴェが私に与えてくれる感情と非常によく合っているため、このように命名しました。

  
  

En Attendant la Pluie

オナタンドン・ラ・プリュイ
VDF
品種ブローコル(フェル・セルヴァドゥ)70%、デュラス30%
  
手摘みで収穫したブドウを完全に除梗して破砕。野生酵母のみでグラスウールのタンクで温度管理を行わずに自発的に発酵。マセラシオンは1日1回のルモンタージュで15日間。圧搾後、引き続き自発的なマロ発酵と熟成。無清澄・無濾過で瓶詰め。SO2は瓶詰め時に必要最最小限のみ添加。2022年の収穫日はブロコルもデュラスも9月5日。アルコール度数13度。総生産量500本。2024年3月時点のSO2トータルは17mg/l。
ヨアン自身のコメント:キュヴェ名の『En Attendant la pluieオナタンドン・ラ・プリュイ』とは、フランス語で「雨が降るのを待ちながら」という意味です。2022年は非常に乾燥した年で、ベト病などの病害は殆ど発生しませんでした。しかし、成熟期に水不足によりブドウの生育がブロックされてしまいました。このため、雨が降るのを待っている間、誰もが収穫をするのを止めていた2週間がありました。しかし、私はこの「雨が降るのを待っている間」に、このキュヴェのブドウを収穫しました。文字通り「雨を待ちながら」醸造したのがこのキュヴェであることから、このように命名しました。

  
  

Rage Against the Bomboche

レイジ・アゲンスト・ザ・ボンボッシュ
VDF
品種:デュラス80%、ブローコル10%、カベルネ・ソーヴィニョン10%
  
手摘みで収穫したブドウ(1/3は全房)を野生酵母のみでグラスウールのタンクで温度管理を行わずに自発的に発酵。マセラシオンはセミ・マセラシオン・カルボニックと1日1回のルモンタージュで20日間。圧搾後、引き続き自発的なマロ発酵熟成。無清澄・無濾過で瓶詰め。SO2は瓶詰め時に必要最小限のみ添加。2022年の収穫日はデュラスとカベルネは9月6~7日。ブロコルが9月17日。アルコール度数14度。総生産量3,150本。2024年3月時点のSO2トータルは19mg/l。 
ヨアン自身のコメント:キュヴェ名の『レイジ・アゲインスト・サ・ボンボッシュ』とは、1990年代のアメリカのロックバンド、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(Rage Against the Machine)の名前をもじったものです。Bombocheボンボッシュとは、祖父の時代の人が使っていた古いフランス語で「パーティー」を意味する言葉です。直訳すると「パーティーに対する怒り」になります。なぜこんな名前を付けたかというと、新型コロナで外出制限になっていたある日、一人の老政治家がテレビで「もうボンボッシュ(パーティー)を止めろ!」と国民に怒鳴ったのです。この発言は、「どの口が言うのか!ボンボッシュ政治家が!」と多くのフランス人のひんしゅくを買いました。ワインは仲間と一緒に楽しむものです。国民感情から遠くかけ離れた年老いた政治家が、フランス人からパーティーの楽しみ奪うことはできません。そこで、私は『ボンボッシュ(野郎!)に対する怒り』と名付けたのです。この名前は大成功でした。私とすれ違う多くの人が「あ~、あのボンボッシュを造ってくれた人ですね」と言ってくれるからです(笑)